新河岸川野の花シリーズD
       
きりえ  「ヨウシュヤマゴボウ」









 園庭の物置小屋のそばで、ヨウシュヤマゴボウの白い花を写生していると、後ろから「おじさんて、絵がうまいなあ」と感嘆する声がした。誰にも見られているつもりがなかったので、ドキッとして振り返ると、きりん組のしゅんご君がサッカーゴールの鉄棒の上にまたがって、ボクの下絵をのぞいていたらしい。「おじさん、いつから絵が上手になったの?」
 図画の時間に絵を習ったのは小学生のときだ。先生に褒められたのも3〜4年の頃のような気がする。戦前の図画の教科書には、お手本の絵が何枚か描かれていたと思う。上手な絵を見せ、見習わせるいうのが指導だったのだろうか。こういう指導方法は戦後否定されたが、また復活する傾向もあると聞く。子どものボクは、図画の教科書に載っている紅葉の風景画を見て、細やかなタッチで描かれているもみじの葉を見て、どのようにクレヨンを使えばこういう風に描けるのだろうと思い悩んだことを、昨日のように思い出す。良くも悪くも絵を習ったのは、戦争が激しくなる前、小学校の低学年の頃までだった。
 ボクはしゅんご君に答えた。「多分上手になったのは小学校の頃だと思うよ」


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