きりえ 「まめまき」 

 




 節分の日は二度鬼が出る。年の数だけ豆を食べ、元気をつけて、豆の入っていたボールを頭にかぶる余裕のあった子どもたちも、小鬼どもがわらわらと出てくると、押入れに逃げ込んだり、先生に抱きついて泣き出すばかりで、小袋に入れた豆を投げるのも忘れてしまう。
 小鬼が去った後、本物の鬼が来る。小鬼を演じた年長組は鬼の仲間になった自分たちは安全と思っているが、それは甘すぎる。本物の鬼は容赦もなくやってくるのだ。ふだん威張っている子は、鬼がよく知っていて、連れて行こうとする。
 暗闇を経験できない現代の生活は、ひとの謙虚さを奪ってしまったという。自然への畏怖を忘れては想像力もやさしさも育たないに違いない。
 合宿のおばけ大会と節分の鬼は、世の中には怖いものがあることを実体験させる「その」の大事な活動なのだ。
 節分の後に開かれる作品展で、鬼の面の展示を見て、小さい組は「あっ、やっぱり! 大きい組じゃないかと思っていたよ」と、なぞが解けてホッとする。

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