きりえ 「指人形を持ち帰る日」

 




 和紙をちぎり、フノリと混ぜて紙粘土を作るところから始める人形劇のとりくみは、優に1ヵ月はかかる。12月上旬の公演は、年長組の表現活動の一つの頂点だ。
 そして苦心に苦心を重ねて作り上げた指人形は、何ものにも代えられない宝物である。土台を作り、紙粘土をまいて乾くのを待つ。絵の具を塗ってまた乾くのを待つ。ニスを塗ってまたまた待つ。根気よく粘り強く仕上げた宝物なのだ。
 指人形は、年が明けた二月の作品展に飾られ、親たちは今度は間近に作品を見て、感動を新たにする。子どもたちの汚れのない感性でなければ、このような天衣無縫の作品は生まれまい。
 さて、作品展が終わると、子どもたちは指人形を家に持ち帰る。いよいよ自分の物になる。嬉しい。すごく嬉しい。自然に笑みがこぼれてくる。
 先生が「絵本の袋に入れて、そうっと持っていくんだよ」と声をかけても、子どもたちは袋には入れない。抱いていたい。抱いたまま帰りたい。
 世界でたった一つの指人形を、家宝のように大切にしている家庭も多いようだ。


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