きりえ 「やぎのひまわり」

 




 2000年の夏に白いヤギのメリーが死んで、ヤギ小屋は当番の子どもたちの姿もなく、寂れていた。高坂の自然動物公園には、ふれあい広場にあまり大きくならないヤギがいて、あんなヤギならいいのにと、大きくなりすぎたメリーに手を焼くと話が出ていた。
 そこで高坂の動物公園に問い合わせてみたが、”剣もほろろ”とはこのことだろう、「動物を売ったり買ったりはしませんよ」と吐き捨てるように言われた。幼児施設であることも、長年ヤギを飼っていたことも話したのに、「ひとを愛さないなあ」と思った。そんな人が本当に動物を大事にできるのだろうか。
 秋の遠足で多摩動物公園に行ったとき、深野先生がヤギの飼育係に話して見ると、反応がまるで違った。飼育係は上司に取り次いでくれ、正式の手続きをして、12月初め、ひまわりがやってきた。動物園で育ったヤギだから、最初から人を求めて鳴いた。小さくて、可愛かった。つややかな鹿毛、散歩に行くと子どもたちより元気に跳びはねる。たちまちひまわりは人気者になった。
 7月に生まれて、12月に「その」にくるまでに妊娠していたとは、晴天の霹靂である。5月30日、ひまわりは突然お母さんになった。「びっくりした!」、「どういうこと?」。驚いた顔をしながら、みんな笑みがこぼれた。楽しい話題だ。赤ちゃんヤギは、年長組の子どもたちの多数決で「ぽろ」と名づけられた。
 年中組の子が「ウンチをぽろぽろするから?」と訊く。そうではない。子どもたちの大好きな絵本のヤギの名前なのだ。


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