きりえ 「土手すべり」(2)

 




 ダンボールのそりは、雪の土手が最高だ。でも、この新河岸川のあたりではめったに雪は降らない。雪がなくても土手すべりはできる。枯れ草はすべりがいいだけでなく、転がり落ちる衝撃を吸収してくれる。
 1枚のダンボールに二人、三人つながって滑れば、そのまま下まで行き着くことより、途中で転倒することの方が多い。それが面白い。折り重なって落ちて、笑い転げる。また土手を上がる。年少組のときは、ちょっと怖くて、最初は先生といっしょに滑る。抱っこしてもらって滑る子もいる。
 さすが年長組になると、友だちとキャッキャッ騒ぎながら遊ぶのが楽しい。全身を躍動させ、もつれ合って遊ぶ。人と人とのぬくもりの中で過ごす時間。早春の風はまだ冷たいが、南斜面に注ぐ陽射しはすでに眩しい。人を信じ、人を愛せる人格は、こうした幼児期の遊びの中で原型が形作られるに違いない。


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