きりえ 「べえごま」

 




 ベエゴマというのは関東の遊びだろうか。鋳物の街、川口でベエゴマが生産されるようになったのは大正時代と聞いたことがある。私は飛騨・高山の生まれで、高山の民俗は関東でも関西でもない中間的な地方であるが、ベエゴマという遊びはなかった。
 ベエゴマを初めて見たとき(もう大人になっていたが)、何の突起もない、ゆるやかな斜面に紐を巻くというのは、とても手に負えそうもなく、やる気になれなかった。
 一昨年の「親子そのまつり」の直前、伝承遊びを子どもたちに伝えようというこの行事の準備で、ベエゴマにとり組んでいるお母さんたちに紐の巻き方を教えてもらった。やってみると面白い。年長組の回せるようになった子どもと、毎日夢中になって練習した。本番のまつりでは、実力より組み合わせの運で準決勝まで進んで、大いに気をよくした。
 昨年はもっと練習したが、ベエゴマ担当のクラスのお母さんに2回戦で敗退した。でも、まつりの後も子どもたちはベエゴマに熱中し、年長組の4分の1ぐらいの子は回せるようになった。きっちり紐を巻くのは難しい。女回しで投げるのも難しい。回せるようになりたい一心で、難しい課題に挑戦する。手指の巧緻性、根気、瞬発力……くり返しくり返し練習して、ある日突然回る。回る。「やったァ!」という感動。その達成感は次の課題に立ち向かう意欲と自信につながっていくのだ。あそびの王様、ベエゴマ万歳。


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