きりえ ざりがにつり

 




 春先のザリガニ捕りは、新河岸川沿いの水たまりの穴に手を突っ込んで、指を挟まれるのを覚悟で捕る。年長組でも、こんなことはみんなができるわけではない。
 秋になれば、田んぼの水路で釣る。これは誰でもできる。この頃になると、年長組は言葉でコミュニケーションをとることを重視するから、釣竿やえさの用意は手紙にしないで、子どもが自分で親に伝えるようにする。先生の話をよく聞き、親といっしょに準備するのだが、親が経験のあるなしもあって、子どもは大変だ。どうしてもいっぱい釣りたいから。 えさはスルメでも煮干でも肉でもいいが、コチンコチンの煮干ではザリガニのハサミが食い込まないから、ツルリと釣り落とすことも多い。この頃、豚肉にはばい菌がついていて、さわった手を口にしたら大変だといった意見もある。どぶ川にいるザリガニはもっとばい菌だらけだと思うけど…。
 えさの良し悪しもあるし、コツもある。選んだ場所の運不運もある。次々釣り上げる子がいるかと思えば、どうやっても1匹もつれない子がいる。当然釣れていい子がつれなかったりすると、その悔しさといったらない。帰りは友だちがはしゃいでいても、口を真一文字、目には悔し涙が浮かぶ。可哀想だが、慰めはいらない。悔しさをばねに、君はひとまわり大きくなる。

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