きりえ 「土手すべり」

 




 ダンボールをそりにした本格的な土手すべりは、草が枯れて倒れる冬の遊びだ。そのころになれば、バランス感覚や運動能力も高まって、みんなが大胆に滑り降りられるようになる。小さめのダンボールをスノーボードのように、立ったまま滑り下りたり、途中でバランスを崩して転がり落ちるのもまた楽しい。
 秋の土手滑りはそのはしりだ。みどりの草はすべりが悪い。足を持って引っ張り降ろす。気の合った友だちと一緒だから愉快だ。子犬がじゃれあうように土手を転げて遊ぶ。
 この友情もあと半年のいのちだが、年長の子どもたちはそんなことは意識の片隅にもなく、いまの瞬間を充実した喜びの中で過ごす。人を愛し、人に愛されて過ごす体験が、ヒトとしての感情、ヒトとして社会の中に生きる力を育てていく。


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