きりえ 「あやとり」

 




 一本の毛糸がさまざまに形を変える。その軽妙な変身は子どもたちの想像力を刺激する。一人あやとり。だれも遊んでくれる友だちがいなくて、ひっそりと一人で楽しむ。あやつる子どもは主体的な存在だ。ゲーム機で気ぜわしく指を動かす子どもと、多分表情の豊かさが違うだろう。
 あやとりに限らず、お手玉、めんこ、ビー玉……伝承遊びは子どもの発達に適い、それを促すという意味で、優れて教育的だ。滅びゆく伝承遊びを子どもたちに伝え、遺していこうと子どものそのの「親子そのまつり」も20数回の歴史を重ねた。初めのころは、あやとりと言えば毛糸をくさり編みにしたものだが、この頃は一本の毛糸をただ結んだだけである。手抜きというより、編むこと自体が生活の中から消えてしまったのだろうか。やはり手編みのあやとりは人のぬくもりを感じる。遊びの形だけでなく、その心を遺したいものだ。


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