きりえ   「夏草しげる」

 




 ウサギややぎのえさに草を取ろうとしても、束ねてつかんではもう抜けない。春から夏へ、わずかな間に雑草はなんと強靭に生きる力を貯えることか。
 新入園のころは、「ちくちくするからイヤ」などと言っていた子が、興味の尽きない草むらに飛び込んで遊ぶようになるのも頼もしい成長ではある。たんぽぽを摘む。綿毛を飛ばす。てんとう虫を探す。アマガエルを捕る…そんな春から、シロツメグサの花で王冠をつくる、ばったを捕る、トノサマガエルを追いかける…そんな夏へ、自然の中では子どもは飽きることを知らない。時間は飛ぶように過ぎて行く。
 遊んでばかりいて、いいのだろうか。意味もない遊び。しかし、それだからこそ子どもは楽しいのだ。そして、そういう無駄なように見える時間が、人間の心を育てていくのではないか。ゆったりと無駄な時間を遊んで育った少年には、何かでつまづいたとき、「おっとっと」と、たたらを踏んで、自分を立ち直らせる力が備わっていくように思える。

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