きりえ 「カラシナの花咲く土手の道」





 新河岸川の土手の改修が進んでいる。コンクリートブロックを敷き詰めたような無機質の土手にしないで、土と雑草を残してくれたのは嬉しい。改修して植え込まれた草の間から雑草が芽を出し、土手を草深いみどりに変えるのに2年とはかからない。テントウムシも、アマガエルも、秋の殿さまバッタも昔のままだ。だが、カラシナの花は復活しなかった。
 改修前は土手が一面の黄色になったものだ。春浅く、カラシナが芽吹くころ、摘んで塩漬けにすればおいしかった。菜の花と区別がつけられないカラシナの美しい黄色は、改修によって土手から消えてしまった。
 10数年前、老人クラブの人たちが新河岸川の土手にコスモスを植えたことがある。咲けばきれいではあるが、コスモスは外来種の植物だから、自然淘汰の世界に水を差す、ある意味では自然破壊でもあった。やはり昔から春を飾ったカラシナが懐かしい。
 土手の改修は、福岡江川や大井町の砂川掘、富士見市の柳瀬川など、新河岸川の支流が合流するところで、たびたび水害が起きたので、緊急に必要な事業ではあった。カラシナが滅びたくらいは受忍の限度内だろうか。


その2






 この作品はきり絵展に出して、買われていったものの二作目だ。実は夏休みに小学校の同窓会で飛騨・高山に帰省したとき、「ギャラリーのまち飛騨高山」という展覧会があって、商店のウインドウなどに飾られるということを知って、出品することにした。
 最初「叱られて」を出そうと思ったが、先生と叱られている男の子の関係は「その」の人でないと分かりにくいという意見があり、自然と人とが一緒の作品ということで、これを選んだ。
 改作に当たって、登場する子どもたちは別の散歩を選んで、カラシナの花に積極的な関心を示している図柄にした。(ヨコ45cm、タテ36cm)


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